毎週水曜昼頃から、TBS報道番組内に住宅リフォームを紹介する枠がある。県内でもRBCで放映されているらしく、視聴者から反響を頂くことがある。 この番組は、全国応募者の中から一軒を選び、プロの設計者が交代でリフォームをプランしその家のご主人、TVリポーター、設計者等が実際に施工造作していく過程を放映する仕掛けになっている。応募をした奥さんは、ご主人や我々に住まいへの不満を告げたきり、出掛けてしまう。一日留守をして戻ると「あら、不思議。マジックの如く我家が変身している。」夢のようなTV番組なのだ。
実は、報道番組としての平均視聴率は五%台だが、リフォーム枠が始まる昼頃からは俄かに数字が伸び、七、八%台、時には十%台にも達するという、裏の長寿バラエテイ番組にもヒケを取らない視聴率なのである。 見るとやるの大違いは世の常だが、TVの内側は火事場騒ぎだ。ご主人だって、身に覚えの無い当選で一昼夜も電気ドリルと格闘なぞ、災難もいい所だ。
私も、出演決心するまでいろいろ逡巡した。建築をショー化する事に抵抗があったからだ。しかし、これも見るとやるの大違いだった。TVスタッフはあくまで素人のご主人がやれる範囲の仕事を丁寧に収録していく。又、協力者として控えている大工さんが、ご主人の手元を見守る目が暖かい。今回は四十年以上経った和室床をはがして見る事ができ、若いスタッフや学生達にもいい経験になったようだ。
「時には小住宅もやらんと、物の価値基準が狂う。」パビリオン等大建築を多く手掛ける安藤忠雄は語っているが、TVという大きな媒体を通して小さなリフォーム工事を慎み深く紹介していきたい。
(菅原 律子/菅原律子設計事務所代表)
2002/03/16(琉球新報掲載分)
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