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Column

08 住まいの色づかい

 

 マイホームを考える時、設計を頼む側の心情として「上司の家よりは控えめに」という密かな決意があるらしい。以前、六十五歳で会社役員退職と同時に新築をなさったお施主に、桜色と薄紫色の部屋作りをご提案した所「もう、誰にも遠慮は要らんから」とすんなり決まった事があった。一般的に住まいの色彩となると「永く飽きない色」「無難」というキーワードで白やベージュ系に落ち着き、家具や調度もそれに沿うようになる。

 
戦前の日本家屋のように経年変化で木肌の深みが陰影となり、そこに障子の白というなら永く飽きのこない風情だが、昨今の洋風化した私達の住まいでは、もう少し研究が必要かも知れない。10年も遡る話で恐縮だが、米国スタンフォード大学で「スペクトラム・ツー」という科学的な色彩分類の研究が行われた。地球上には約八千万色程の色彩が存在するが、それをまず青色ベース、黄色ベースに分類するそうだ。「どんな色もベースカラーが共通していれば、組み合わせで大きな失敗はない。」という内容で、確かに二色ベースカラーチャートは明快で美しかった。案外、科学的に分類されたもの等活用し、もっと気軽に色彩を取り入れても良さそうだ。

 薔薇色のトイレ、スカーフ模様の浴室、リビングルームの一壁面だけワイン色なんてどうだろう。固定概念に縛られず、住まう方の世界がそのお住まいに表れてくれれば良いと思う。68歳の知人が「色が微妙だと、よく左右チグハグな靴下を履いてね。」とこぼしていた。高齢化に伴い、危険喚起の為の色使いも必要だ。住まいの色づかいは、今日的な住まい、高齢社会など私達の回りから必要性が高まってくるのかも知れない。 

(菅原律子/菅原律子設計事務所代表)


2002/06/22(琉球新報掲載分)

 
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