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Column

12 WUB世界大会関西2005の企業訪問に参加して

   開会式第二部、(株)エーデルワイス比屋根会長の基調講演には大変感動しました。十代の若さで単身渡阪し挫折に遭いながらも「ケーキコンテストの賞状やトロフィ」を担保物件に銀行融資に回った話には迫力を感じました。明けて8日は基調講演を聴いた参加者で追加人数が倍に膨らみ、バス2台を連ねての工場見学となりました。 到着するとまず菓子製造機などをコレクションした美術館を廻ります。「お菓子文化を伝えたい」という比屋根会長の熱意で4000点もの展示がありました。中には1700年台の古い道具もあり、貴重なコレクションです。 

 この後見学者は工場内を見せて頂きましたが、製造過程の見学中にも拘わらず仕事中の皆様がとても明るいあいさつで迎えてくれました。オート化しているセクションと、人の手が丁寧に加えられていく箇所との対比を説明してもらいましたが、近年お客のニーズはますます厳しく「本物」「手作り」への要望が増えているとのことでした。現在お菓子とパンで4ブランドを展開しているそうです。工場見学のWUBの皆さんへも「1年は11ヶ月しかない」と仰る比屋根会長自ら1ヶ月は渡欧して研修に充て,又、技術提携、研鑽の為毎年社員をヨーロッパに派遣なさっているとのことでした。お菓子を「食文化」という位置づけで捉えている視点は、石垣島から大阪を目指し、既にもう世界に向けられているものを感じました。 

 企業訪問の2軒目は、午後から大阪市環境事務局のゴミ処理焼却工場「舞洲工場」へ向いました。ここは大阪10番目の工場で大阪最大(450t/1日)の焼却工場です。たまたまこの工場見学のタイミングで朝のTVバラエテイー番組に「大阪府の壮大な無駄遣い」ということでレポートされていました。工場では入り口から内部までに少しの空地にも植栽され、築山があり散策しているような感じです。周到な設備計画のお陰で、音も出さず、空気もきれい、汚水も出さないので、隣接のスポーツアイランドでは野球場やキャンプができ、サッカーコートは大阪のJチームセレスト大阪の練習場になっています。 

 この施設は実は途中からオーストリアの建築家フンベルトヴァッサーに再設計を依頼されました。ヴァッサーは「自然を壊して建物は作られるので、出来た建物に自然を創るべき」との思想で取り組んだとありました。今このような清掃工場はオーストラリア・シュペテラウと舞洲の2つだけで、この2つの工場は提携して情報交換し環境問題を世界にPRしていくようです。冒頭のTVレポートに戻りますが、いわゆる「迷惑施設の負の部分をどう捉えるか」というテーマに「ゴミを収集した所で焼く」その施設については公害を出さないばかりか地域にいい環境を提供する、ということにならないでしょうか。コンセプトが解ると、奇妙な建物もより身近になってくる気がします。

 比屋根会長の(株)エーデルワイス工場見学後に「講演依頼」や「子供を是非就職させたい」などの手紙が11通寄せられたそうです。比屋根会長への講演依頼は昨年10月関西ビジネスフェアの際からのラブコールで、舞洲工場は昨年仲里会長自らが視察した際に「是非関西大会での企業訪問に」との思いが実り二つの企業訪問が実現したとお聞きしました。二つとも特にWUB会員の企業、施設ではありませんが、世界を視野に入れて企業活動、発信しているという点で大変刺激的で良い企画だったと思いました。

(菅原律子/菅原律子設計事務所代表)



2005/07/01(WUB東京会報誌掲載分)
 
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